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インドの洗礼を受けながらデリーからジャイサルメールへロイヤルエンフィールドで行く

2014年の為替は1インドルピー=1.6円です。

エンジントラブルから始まったデリーからジャイプル

2014年12月7日  世界一周458日目

ニューデリーからジャイサルメールに向かってバイク旅を再開した。今日の目的地はジャイプル。毎回お世話になっているトニーの宿に向かう。

早朝のデリーは車が少なく快適に走れた。ところがランチの後、エンジンがかからなくなってしまった。こんな時バイクに詳しいK氏がいてよかったのだが、キックでもかからず、うんともすんとも言わない。プラグを確認しようにも外すことができなかった。こういうトラブルがあると、このバイクを売ったババーの事を思い出して腹が立つ。どうせなら、デリーにいる昨日壊れてくれれば修理に出せたかもしれないのに。

しばらくするとバッテリーの接触も怪しことがわかり、ごちゃごちゃやっているうちにエンジンがかかった。無事にジャイプルに到着。

ジャイプルからジョドプル

2014年12月8日  世界一周459日目

今日はジョードプルに向けて出発する。アジメールまでは綺麗な高速道路が通っていて交通量も少ないのでミゾヨコが運転することになった。まずは道端のチャイ屋で朝食をとる。うっかり落としてしまったクッキーはリスに持って行かれた。

朝食をすませると、またしてもエンジントラブル・・・。すると、外国人がバイクに乗っているのが珍しいのか、地元の人が見物に来た。

無事にエンジンが復帰したので運転再開。すると、今度はミゾヨコの運転技術が未熟すぎて後ろからK教官の指導が始まった。

こちらはインドの運転に慣れつつあり、インド人と似たような無謀運転をいつのまにかしていたのだろう。しかも普段は温厚なK氏は、ハンドルを握ると人格が変わるたぐいの人物だ。

「ブレーキが遅い」「無理な追い越しするな」「車間距離を取れ」

ミゾヨコの運転に怒号がほとばしる。運転中にされて嫌なこと第1位に輝く「運転にケチつける」を連打で押してくるA氏ではあるが、歳を重ねるにつれて怒ってくれる人が少なくなるので感謝しかない。

しかし、一般的な事象だけでは無いのがインド。片側3車線の道路を平気で家畜の大群を素通りさせたり、時には中央分離帯に生えた草を食べさせたりしている。

ヒンズー教にとって牛は神様なのだから絶対に事故はさけたいが、神様も少々横暴だと思う。

そして、時々出現する逆走トラック

インドのバイク旅はアドベンチャーでしか無い。

そして2時間ほどの教習は終わり、アジメールに入る手前で運転を交代した。

アジメールを過ぎるとまた工事中の道に変わった。未舗装の道路はところどころ脇道にそれたりしながら続くのだが、ここでもインド人の傍若無人なドライバーのおかげでしばし彷徨う。なぜかというと、あえて通れなくしている道を勝手に柵を取り払い突っ切っていたりするのだ。そのためいたる所にタイヤの跡があり、どの道が正しいのかわからなくなるのだ。もっともらしい道を選択しても、突然道がなくなったり、知らぬ間に方向の道に乗ってしまうのだ。

一行はGPSを頼りに何度か方向修正をしながらなんとか進んだ。道を間違えるたびA氏のいらつきが伝わってくる。標識もほとんどない道で、車のわだちと携帯を頼りに進むのはストレスだった。

やっとのことで側道から本線らしき新しい道路に出た。しかし今度は新しいアスファルトの道なのに侮れない。圧縮があまいなのか、できたばかりのアスファルトに10センチほども沈み込んだわだちがあったりしてまた危険。

なんとか15時ごろジョードプルに到着。今回は宿をとっていなかったので、ラプカと呼ばれる客引き紹介してもらおうと思って行った。ところがラプカが扱うゲストハウスにバイク置き場がないからなのか、観光客丸出しの一行に誰も話しかけて来ない。いつもならうんざりするほど詰め寄ってくるラプカも、今日は役に立つと思っていただけに残念だった。仕方がないのでネットで検索して駐輪場のある宿を探した。

それなのに今度は宿にたどり着けない。そもそも、インドの住所はとてもいい加減で、「郵便局のうしろ」「○○ビルの近く」などというざっくり過ぎる住所しかないのだ。その上、地図を読めない人も多く、登録してあるインターネット上の地図がそもそも間違っているということも多い。その上インド人は知らないって言えない人種なので、たとえ知らなくても平気で違う方向を指す。

あっちでもない、こっちでもないとしている間にさらに2時間かかったが、やっと宿にたどり着くことができた。(1泊400ルピー)

インドの洗礼

ミゾヨコはシャワーを浴びてさっぱりした後、夕食をどこで食べようか考えていた。すると、なんだかK氏の元気がない。運転に疲れたのかと思っていたが、寒気がすると言い出した。それは次第に高熱と腹痛にかわり、酷い下痢でトイレから離れられなくなっていった。

一通りトイレで出し切ると、今度は嘔吐し始めた。ベッドで唸りながら横たわるK氏。

今日二人が口にしたものを思い出そうとしたが、あまり思い当たることがない。と言うか、朝から道端の食堂で食べたり飲んだりしていること全てが、思い当たるとも言える。でも同じものを食べた私はなんともないのだから不思議で仕方ない。ついに私もインド 人の強靭な胃袋を手に入れたのだろうか。

2014年12月9日  世界一周461日目

K氏の熱は恐らく39度は出ていたであろう。夜通しトイレを行ったり来たりして痛々しかった。そして、私はまったくの無症状。

食中毒の治療はとにかく体にある毒素を出してしまうこと。宿の人に頼んで抗生剤とポカリスエットのような粉末を買ってきてもらい内服する。

私が洗礼を受けた時と同様に、K氏もまた、マサラをしばらく受け付けないようになるんだろうな。

こんな状態で移動ができるわけもなく、今日は洗車したりしてゆっくりする。

ジョドプルからジャイサルメール

2014年12月10日  世界一周461日目

K氏は徐々に回復していった。ジャイサルメールまで5時間の旅を再開した。

牧草だろうか。パンパンに何かを載せて走るトラクター

の、後ろに寝転んで居眠りしている農民。

西に行くにつれ空気はさらに乾燥し、次第に砂漠が占める面積が増えていく。

道の途中の砂漠に、ラクダの大群がいたので立ち止まる。ただ道を走っているだけなのにキャメルサファリができるってすごい。

すると何かを持った男が歩み寄ってきた。

「ハローマイフレンド!ラクダのミルク飲んでみる?」

ラクダのミルク!?興味をそそるけど、牛乳でさえ煮沸して飲むのに大丈夫なん?

病み上がりのK氏はもちろん拒否。私は自分が鉄の胃を持っていることを信じていただくことにした。

味は・・・・塩っぱい。けど、普通に飲める。温めて砂糖を追加して飲んでみたい味だった。

一行がしばし休憩している間に、男はラクダの話をしてくれた。ラクダは40〜50頭のメスに対して、たった1匹のオスで一つのファミリーにするそうだ。嘘が嫌いなインド人の言うことなんでさらっと流してしまったのだけど、それが本当ならばファミリーになれたい大量のオスはどこにいくのか。聞けばよかった。

この近くには軍の敷地があり、その中に沢山ラクダが食べる草が生えているそうだ。その敷地に昼間侵入すると大砲で打たれてしまうので、夜間だけそこに移動うして餌を食べさせているそうだ。母親を打たれてしまった子ラクダもいると言う。ラクダを育てるのも命がけだな。

一行は引き続きジャイサルメールに向かって進む。またしても未舗装の道となり、走りにくい。バウンディングしながらゆっくりすすんでいくと突然バイクから変な音がし始めた。

次の瞬間、何とヘッドライトが飛び出してしまった。

予想にもしないハプニングで思わず笑いが出てくるが、ぶら下がったまま進むわけにいかない。立ち尽くしていると、通りすがりの人が寄ってきて手伝い始めた。

特におどろく様子も無いので、この国では突然ヘッドライトが飛び出ることも当たり前なのかもしれない。インドの悪路は車両の寿命をものすごい速さで縮める。

車両と動物を避けながら一本道をひたすら進む。

また突然ラクダ出現。ラクダは目と耳が悪いそうで、驚かせると慌てて跳びはねて暴走するので危険。道を塞がぬようにそーっと進む。

ジャイサルメールが近くなってきた。おなじみの超過人数のバスだが、ネパールの山岳絶叫バスのように命の危険は感じない。

すると今度はバイクに乗った二人組が走りながらすり寄ってきた。

「マイフレーン!! イイヤドアルヨ!!!」

怖いわ!無視して進む。

こうして無事にジャイサルメールの宿に到着したのでした。

mizoyoko