この日記は2015年に書かれたものです。
2015年の為替は1インドルピー=1.6円です。
インドは面積が日本の約9倍で砂漠、ジャングル、山、川、海と何でもあります。今回は2015年12月に行った雪と山と湖の街、スリナガルの日記です。
スリナガルはインドの北部ジャンムー・カシミール州の西部。
2014年に行ったレー・ラダックより西寄りで、パキスタンとの国境には世界第2の高峰K2がそびえる。この辺りには資源が豊富で度々パキスタンと領土を争いのため内戦が起こっている。度重なる対立にインド側からの妥協案として、この辺りの領有権と引き換えにラジャスタン州のパキスタン国境付近の砂漠地帯をパキスタンに引き渡すという交渉がされたが、パキスタンは拒否した。そしてその数年後、皮肉にもその砂漠地帯から油田が発掘されるという・・・・。
スリナガルの標高は1700m。ラダックが3500mなので大分低い。バイクでラダックに行く人の中にはマナリから標高5000m級のタクランラ峠を超えるルートより、アムリトサルからパキスタン国境沿いをゆっくりとあがっていく方が高山病になりにくいそうだ。
以前イランでスノーボードをしている記事を読んだ。イランといえば暑そうな国というイメージしかなかったが、雪山があると知ってどうしても行きたいと思っていた。当時はまだあまり情報もなく、スキー場も軍の併設か何かで少し物々しい雰囲気だったように思う。
欧米諸国のリゾート地でスノーボードするのも楽しいが、わざわざビザを取って中東でスノーボードをするなんていうハードルの高さがミゾヨコの冒険心をくすぐっていたのだ。
インドも国土の殆どが暑いという印象だが、最北部はヒマラヤ山脈があり雪も降る。ひょっとしてスキー場もある?念の為調べたところ、スリナガルから行けるスキー場があることを知ったのだ。
『インドでスノーボード』
旅好きでスノボ好きのミゾヨコにはこの言葉がものすごく魅力的に感じた。
また、スリナガルは高地に生息する山羊からしか採れない高級パシュミナの産地でもある。すでに何枚かパシュミナのストールを買っていたのだけど、軽くてあたたくてとても重宝していた。せっかくなら工房まで出向いて買ってみたいと思っていたからだ。
スリナガルは水の都と呼ばれている。街の中心部にはダル湖があり英国植民地時代に避暑地として栄えたハウスボートというホテルが散在する。一般の住居も湖の中に沢山あり、東南アジアによくある水上マーケットなどもある。
2015年12月3日 世界一周569日目
今回はデリーから飛行機で目的地まで行くことにしたのだが、時間通りに空港についていきなり焦る。国際空港と国内線のある空港が違うらしい。焦りながらも何とか国際線の出る隣の空港に移動した。
無事にチェックインして一息ついた。プライオロティーパスでラウンジに入り、少し腹ごしらえをする。すると、なんだか呼ばれてる気がする・・・・・・
ミジョヨコー シキュウゲートニキテクダサイ
ボーディングタイムと出発タイムに30分くらい差があるので油断してたら呼び出されてしまった。慌ててゲートに行くと客はもうすでに乗り込んでおり、閑散としている。そしてすでに私たちの荷物は飛行機から降ろされていた。あぶなーい。もう少しで乗り過ごすところだった。
ヒマラヤの山々が雪に覆われて綺麗。よく目を凝らしてみると、時折民家のようなものが見える。あんな僻地にどんな人が住んでいるんだろう。
スリナガルの空港に着くとまずはパーミットをもらう。この辺りは情勢が不安定なため外国人の出入りは厳しく管理されている。
出口をすぎると今度は人だかりができている。その中のひとりがこちらにきた。
「どこに泊まるんだ?」
ラプカ(ホテルの客引き)だなと思って無視して進もうとすると、何やらもう少し威厳がありそうな人であることに気がつく。どうやら警察で、外国人はどこの宿に泊まるかを言わないといけないらしい。
私はいつものように適当に探そうと思っていたので、まったくホテルの名前を知らずに困ってしまった。ふと旅人から聞いた名前のゲストハウスを思い出したので適当に言ってみた。すると本当にそんな名前の宿があったのか、すんなり解放された。
とりあえずバスでダル湖の近くまで移動する。
湖付近に着くと、今度は本当の客引きがうろうろしていた。適当にいい人そうなインド人についていき、早速ハウスボートに宿泊することにした。
ちなみにハイシーズンの夏の宿泊は結構高いのだが、冬場は格安で1000ルピーほどで2ベッドのボートを貸し切ることができた。でもさすがに安いだけあって電気毛布も使えず極寒で夕食まで部屋にこもることになった。
2015年12月4日 世界一周570日目
オーナーがパシュミナの店を知っているというので紹介してもらった。ものはいいのだが1枚7000ルピーと高値で、スリナガルまで来た意味が全くない。最終的に4900ルピーまで下がったのだが、ラジャスタンとほぼ同じ値段のため今日は買わないことにした。
ダル湖のほとりに建てられたレストランでランチを食べ、他のおお土産屋に入ると3300ルピーで好みのパシュミナがあったので買ってボートハウスに帰る。帰ると言っても湖の上に浮いているのだから歩いて帰れないので、持っていた名刺を差し出し船で送ってもらった。
ボートは鏡張りになった湖を静かに進む。ボートハウスや一般の家の前を横切り無事に帰宅する。
今夜は宿でラム肉のカレーを食べたのだけれど、何だかオーナーの機嫌が悪い。昨日はとても愛想よく一緒にお酒まで飲んだのに、今日は何だか口数が少ないのだ。おそらく紹介してもらったパシュミナ屋で何も買わなかったからだろう。コミッションが入らなかったからふてくされているのだ。
その仕打ちか、今晩はあったかいお湯も出なくなっていた(笑)
2015年12月5日 世界一周571日目
もうハウスボートの寒さはこりごりなので、陸の宿に移動することにした。朝は通学の学生がボートで移動していた。
この時期は薄雲がかかった天気が多く日中でも夕暮れ間近のような薄暗さがあった。
昨日紹介してもらったパシュミナ屋がホテルもあるというのでそっちに移動し、ついでに作っているところも見学させてもらう。
山羊の顎からとれた毛だけを使って糸を紡ぎ、それを鶴の恩返しのように織ってパシュミナが作られていく。
ここで今度は4500ルピー、最後には3500ルピーにまで下がった。ラジャスタンでも同じような品質が同じ値段で買えるのだけど、ここまで来れたことだし何枚か買う。
夜にラム酒を頼んだら、どういうわけか昨日まで宿で働いていた男の子がラム酒を届けてくれてびっくりした。今日パシュミナ を買ったのでそのコミッションでも受け取りに来たのかもしれない。
ハウスボートでは1本300ルピーのラムが今日は150ルピー。ハウスボートは割とボッタクリだったことに今更気がつくが、わざわざ船で買いに行くのだからこんなものかとも思う。
2015年12月6日 世界一周572日目
今日は雪山に行く日。ネットで色々検索するうちに、どうやらスキーのシーズンは1月の半ばからということが判明した。かなりショックだけどどうすることもできないので、とりあえず現地に行ってみることにした。
ホテルでタクシーをチャーターして出発。2時間ほどのドライブを楽しむ。
グルマルグに着くとスキーや長ぐつなどのレンタル屋があったので、スキーについて聞き込みしてみた。残念ながらまだシーズンではないそうだが、ゴンドラに乗って雪山をみにいくことは出来るらしいので行ってみる。
ホテルの人から客引きの話は絶対に聞くなと言われていたけど、ここはあのタージマハルがあるアグラやデリーよりエグかったかもしれない。
客引きたちが大勢待ち構えている。
タクシーが止まる前から走り寄ってきて色々話し始める。
あまりにも切羽詰まった話し方なので怖すぎる。
ここで雪山に上がるための防寒着と長ぐつをレンタルした。セットで300ルピー。防寒着はどこかの国からの寄付されたものなのか、K氏のコートはなぜかものすごいゴージャスで場違いな毛皮のコート。
ロシア人が一番多く訪れると行っていたので、彼らがラム酒片手に雪山を楽しんでいたということなのだろうか。とにかく長ぐつに毛皮のコートを身にまとってゴンドラの麓まで歩くことになった。ちなみに、参考までにスノーボードのフルレンタルは3700ルピーだった。
歩きだすと今度はごついマントに身を包んだヒゲモジャの男たちに囲まれて色々売りつけられそうになる。ゴンドラまで歩いていけるのだけれど、パーミットが必要だから行けれない、ゴンドラまで歩くと2時間かかるからロバに乗れ、ロバに乗れ、ロバに乗れ・・・・・。半分ほど歩いてもしぶとくついてくるので、半分だけロバに乗ってゴンドラまで行くことにした。
麓はまだ雪無し。ちまよったK氏が草原を転がる。
ゴンドラの代金、外国人は1400ルピー。
あー本当ならスノボ一式担いでウキウキだったと思うと残念。でもK氏の仕事の都合もあって1月にここに来ることができなかったし、私のビザも期限があったので仕方ない。
ゴンドラ代は高いだけあって、安心して乗れた。14000フィート=約4300mまで一気に上がります。
標高4600mのでもまだ岩肌が見える。
何にも苦労せずにこんな高さまで来たけど、ヒマラヤ山脈は壮大でいつみても感動する。
2015年12月7日 世界一周573日目
今日は最終日。フライトまでに少し時間があったのでガーデンに行ってみたけど、冬なので全く花が咲いておらず早目に空港についた。
お土産屋に行くと昨日私が買ったようなストールが同じ値段で売られていてショック・・・・。しかも今までで一番バリエーションも多く、探していた厚めのパシュミナショールも売られていた。
なんだかパッとしないスリナガル観光に終わったのであります。
ちゃんちゃん