サンタクルスからトロトロへ
2016年4月18日 世界一周705日目
昨晩のバスは19時出発のはずだったが、乗客が集まらなかった。出発時刻の20時になっても出発する気配が見られず。次第に乗客がざわざわし始め、「バモー!(レッツゴー!)」と誰かが大声を出し始めた。バスはしぶしぶ出発した。
一行が目指す先はコチャバンバ。名前は可愛いのだがここからコチャバンバまでの道は麻薬の密輸ルートでも有名らしい。そのため何度も検問があると聞いていた。
またベネズエラのような検問があったらめんどくさい。X線による持ち物検査が何度も行われたらと思うとかなり億劫だった。
ところが、予想とは裏腹にカマ(フルリクライニング)のバスは全く止められることなく快適に目的地まで運んでくれた。
バスターミナルからはタクシーかミクロ(と呼ばれる乗合タクシーのようなバン)でトロトロ行きを探すはずだったが、コーヒーを探して彷徨っているうちに乗合タクシー乗り場まで歩いて到着。結局、大荷物で40分も歩いてへとへとになった。
ミクロは8時にトロトロに向けて出発した。35ボリ。コチャバンバの街を出てしばらく石畳の道が続き、やがて未舗装の道へ。くねくねの山道を進み、時折ハードなオフロードの道となる。今が雨季なら明らかに道がなくなるだろう。そんな浅瀬の川を何度か渡る。
出発から5時間弱でトロトロに着いた。
トロトロとは
そもそも、このトロトロも旅人に聞くまで知らない街だった。トロトロとはケチュア語で恐竜の足跡という意味。どうやらここでは恐竜の足跡が観れるらしい。何億年も前の恐竜の足跡が残ってるって?それが本当ならむちゃくちゃロマンがある。好奇心が爆走し、もはや予定を変えてでも行くしかない。
まさようミゾヨコ
トロトロに到着。宿を決めて早速勇んでインフォメーションに向かった。広場に地図があったのだが、北の向きが斜めで混乱した。
夕方の太陽が左右どちらの手にあれば、正面が北になるのか。北が正面だと太陽は右から上がって・・・。いや待てよ。ここは南半球だから太陽は・・・・やっぱり右から登る。では北と南だと、何がどう違ったのか。そうか、北半球の正午は太陽の方向が南だけど、南半球では北を指してるのか。
で、結局私は今はどの向きでどこにいるの???
地図を穴が開くほど見たが現在地が全くわからない。結局、町中を歩き回り、つたないスペイン語とジェスチャーを駆使し、なんとかインフォメーションにたどり着くことができた。
トロトロ国立公園1日目
ツアーデスクでは丁度ツアーの客を募集していたようで、フランス人カップル、スペイン人カップル、アメリカ人カップルと私の7人でツアーをシェアすることになった。
今日は徒歩で行く3時間のコースに行くことになった。ひとり15ボリ。
民家をすり抜け、小高い丘へ登ると村全体が見えてきた。
何この地形。山が途中で切り落とされて、断層が剥き出しになっているようだ。さすがに切り落としたりはしないだろうから、どこかのタイミングで崩れ落ちたりしたのだろうか。
一行はひたすら歩く。
おもむろにガイドが説明を始めた。
ん?ここに足跡?!ガイドはスペイン語なのでアメリカ人が英語に訳してくれて説明を受ける。これが鳥脚類と呼ばれる二足歩行の草食恐竜らしい。
見やすくするためガイドが足跡にたまった砂を取り払ってくれた。
すると、くっきり足跡の輪郭が出てきた。
自分の足と比べてみる。23センチの小足とどっこいどっこいか。
Google先生に聞いてみると、約6000万年前から2億年前の足跡のようだ。手前がかかと側。真っ直ぐ伸びる大地を闊歩していたのだろうか。
すごくないですか。そもそも2億ってなんですか。夢がありすぎる。この時代のことを中世代のジュラ紀とか白亜紀と言うらしい。新しい和菓子の名前にしか聞こえないが、とにかく果てしなく昔。
お次は獣脚類。二足歩行の肉食恐竜らしい。手前から向こう側に向かって足跡が伸びている。
人との比較。上の獣脚類は人間とさほど大きさがかわらない種類もいるようだ。
うっかり遭遇しても勝てそうな気もするが、肉食だけに狂暴か。今を生きるライオンやクマが相手だと、どちらが強いのだろうか。
他にも足跡がたくさん残っている。マリオに出てくるヨッシーが大草原を走っているかのようなイメージ。
そもそも、どうして足跡が残っていたのか。
まず、ぬかるみの強い大地を恐竜が歩き、足跡を残す。
そこに砂や火山灰が被さり長い年月をかけて地層となる。
その地層が地殻変動によって押し上げられ、たまたま足跡があった地層が剥き出しになったそうだ。
細かいところはあやふやだけど、きっとこんなことを言ってた気がする。
地面をよく見ていると、ここにも何者かの足跡があった。
これは指らしい。
今から二億年前の足跡をたどると、逆にこれから2億年後はどうなっているのだろうかと疑問に思い始めた。
度重なる地殻変動で日本が水没したり、大陸が移動して今の気候や地形ではないことは明白だ。もしかしたら人類が滅亡していて、またあたらしい生物が地球を支配しているのか。
新しい生物が人間のように進化を遂げ、もし廃れた東京が発掘されたら・・・。
妄想が妄想を呼び、果てしない時の流れに酔いしれるミゾヨコであった。
トロトロ国立公園2日目
2016年4月19日 世界一周706日目
今日は車に乗って、恐竜の足跡見学や洞窟探検をする日。ひとり101ボリ。
洞窟探検
今日はイスラエル人、ベルギー人、カナダ人、ドイツ人とかなり多国籍なグループ。
車で山の麓まで行くと、ボリビアのグランドキャニオンと呼ばれる景色があると言う。
まずは洞窟探検。いろんなところの岩に割れ目があり、中に入ることができる。
狭すぎて行き止まりのことも。洞窟の中は気温が低く、風も吹いていたため寒い。
このエリアはキャンプもできるそうだ。こんなところで野営してたら気分はすっかり原始人になれそう。
洞窟から出ると、今度は巨大な岩肌を登っていく。
大自然しかない絶景。今ここで恐竜が出てきても違和感ない。
下まで降りて見上げると、岩の大きさがよくわかる。
ワイルドとは
よく人からワイルドだねって、複雑な意味が入り混じった褒め言葉をもらうことがある。今日のランチタイムは、私が人にワイルドだという出来事があった。
ランチタイムの後、おもむろにカナダ人がナイフを取り出だした。
と思ったら、に、にんじん!
どうやらスナックがわりに食べていたようです。リンゴでもなくオレンジでもなくにんじん。その手があったかー。まさにワイルド。
そういえば、ネパールでトレッキング中に、収穫中の大根を農民からもらって食べたことを思いだした。これは非常にスタンダードなワイルドだったのかも。
ウマジャランタ洞窟
お次は鍾乳洞の散策へ。
ここでヘルメットとヘッドライトを借りる。
ウマジャランタ洞窟は、標高2800mにあるボリビアで最も深い洞窟のひとつと言われている。
洞窟までの道でひょこり。ここは恐竜の足跡が至るところにあり、どこでも触り放題。
ゴロゴロした岩を登ったり降ったりしながら洞窟の入り口に到着。
中は苔で滑りやすくなっているところや、時にはほふく前進でないと通れない場所もあり、まさにアドベンチャー。
ひやっとする洞窟内。水がしたたり、カルシウムでつららができている。
鍾乳洞のなかは真っ暗。さらに奥に進む。ときにはひと一人がやっと通れる隙間に身体をねじ込むこともある。大柄のぽっちゃりさんは通れないので、ツアー申し込みの時点で断ることもあるそう。
ここは雨がたくさん流れ込むと塞がれてしまう。
もし突然大雨が降ったら。もし今地震が起こって入り口がふさがったらと思うとドキドキする。ここにいるみんなが運命共同体だ。
洞窟の中をよじ登ったり、ずり落ちたり。洞窟の中に生息する魚を観察したり。そして1時間は歩いただろうか、ついに光が降り注ぐ出口が見えてきた。
無事生還。
オフィスで働いているインディヘナと呼ばれる先住民のお姉さんも一緒に村の方向へ。
巨大な足跡の正体
村の近くまで帰ってきて、今度はまた別の恐竜の足跡を見ることに。
一番上が竜脚類といって大きいものでは高さ40mにも及ぶ巨体だそう。
二段目、三段目は初日のパンフレットに載っていた鳥脚類と獣脚類。
一番下は曲竜類と呼ばれる、全身が鎧のような硬い皮膚に覆われていいる草食動物。
そしてこの亀のような恐竜の足跡がこれ。
歩幅が狭くない?と思ったが、亀のように手足が短く4本足歩行だからそう思うのか。
ここで、ガイドが面白いことを教えてくれた。この恐竜の足跡の先に、右側からまた別の恐竜の足跡が迫ってきている。
これは足跡が合わさるあたりでケンカしたのだろうとのこと。
ふと、ネパールのチトワン公園で野生のサイが喧嘩したときのことを思い出した。命に危険を感じて逃げ惑う人がいいたが、あれが恐竜に置き換わるとさらに迫力があるだろうな。
今度は1番上にあった竜脚類の足跡。ブラキオサウルスというらしい。
この辺りで生息していた一番大きな恐竜だ。
流石に巨大な足跡。
この景色で恐竜が歩いているところを想像すると、あまりにもマッチしすぎてタイムスリップしたような気分になる。
数億年前から確かに恐竜は存在していた。それを実感できるいいツアーだった。
トロトロ国立公園3日目
2016年4月20日 世界一周707日目
今日は4時間のハイキングコース。谷底にある川で水浴びをするためにここから歩いて降りる。
正直なところ、膝に爆弾を抱えたミゾヨコとしては気が進まなかった。昨日の洞窟で体力を使い果たしたのに、またこの高低差を歩くのか。
内心は渋々だが、グループの輪をみだすわけにもかないので一緒に降りる。谷底まではしっかりした石段があり、長い距離だが安全に降りることができた。
谷底では洞窟から染み出した水が降り注ぎ、滝ができていた。一応水着を持ってきていたが、谷底は日陰となっていて気温が低く、入る気にはなれなかった。
村までの帰り道、どこからきたのかインディヘナのおばちゃんが歩いていた。
カラフルな風呂敷に荷物を入れ、フリフリのスカートとハット、それに長い髪をおさげにしている。ほんとかわいい。
こうしてトロトロ村を満喫したミゾヨコでした。