最恐国ベネズエラに入国〜驚きの闇両替レートとローカルバス移動の末は地獄か?
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いよいろ南米旅が始まったミゾヨコ。コロンビアからベネズエラへとバスで移動しました。

前回の記事はこちら↓

闇両替

2016年3月5日  世界一周661日目

コロンビアのククタからベネズエラ側の街に歩いて入国する。早速闇両替を探してさまよっていると、商店の人が交換を申し出てくれた。

ベネズエラの通過ボリバルの公式レートは、USD1(アメリカドル)=6ボリバル。そして闇レートのアプリだと1ドル=1000ボリバル前後。それが店頭だと850ボリバルとなる。公式闇レートより150ボリバルも安いのだけど、街角の怪しい人ではないし、公式レートを考えると破格なので交換することにした。

とりあえず100ドルほど交換した。すると85000ボリバル分の札束が奥から運ばれてきたのだが、大きい紙幣が100ボリバルだから850枚もの紙幣が私たちに渡された。二人とも札束の多さにドン引き。早速荷物の奥深くに手分けして隠す。

とりあえず長距離バスが出ているサンクリストバルまでローカルバスで移動する。サンタヘレナからベネズエラを横断するバスがあると言う噂は聞いていたのだけど、今日は出ないらしく、次の出発もいつになるのか分からなかった。とりあえず少しでも距離を稼ぐためローカルバスでバレンシアを目指すことにした。

Venezuela,

続くバス移動

2016年3月6日  世界一周662日目

早朝バレンシアに到着する。早速Hさんのスペイン語を駆使して情報収集したが、どうやらダイレクトバスは夕方に出るらしい。Hさんの帰国の日が決まっているため、できるだけ早くたどり着きたいミゾヨコ一行。別のルートも探し始めた。

今いるバレンシアは首都カラカスから割と近い距離にある。首都からはきっと沢山バスが出ているのだけど、私たちは首都に行くことを相当恐れていた。隣国からの物資が入りにくいベネズエラでは慢性的にスーパーの商品棚が空っぽだと言う。殺気だったローカルに略奪されたら旅だけでなく人生も終わるかもしれない。このバスターミナルにいる限りそんな怖そうな人は見かけないが、きっと首都のカラカスの町はずれは北斗の拳のあの光景のはず。そんな被害妄想をふたりして抱いていたので首都に行く選択肢はなかった。

バスターミナルには各方面のバスのチケットが売られていたが、何社もあり客も取り合いになっていた。こう言う場合は選択に迷う。ロライマ山のベースになる街までのダイレクトバスは夕方まで出ない。とりあえずその中間地点の町であるサンフェリックスまで行くバスがあったので、そこまで行ってから次のバスを探すことにした。

Venezuela,

緊張の検問

道中に突然止まったバスに警官が乗り込んできた。どうやら検問らしい。心臓の動きが高鳴り始めた。ここでお金を取られたら私たちは絶体絶命。お金をATMでおろすにも、公式レートのボリバルしか手に入らない為北欧以上の出費になってしまう。

乗客がみな下ろされて警官がバスの中を見回る。その間に乗せた荷物はすべて下されX線に通される。続いて乗客も身体検査を待つ。

乗客達は検問を黙って受ける。ひょろっとした係員はこちらを見てもあまり動じる様子はない。どうやら現金を取ると言うのは噂話だったのか、警官は型式通りの荷物検査をしてミゾヨコ達の検問も穏やかに終わった。

一行はバスに戻り再び目的地を目指す。窓の外の壮大な景色を楽しんでいたのだと思うが、残念ながら記憶も写真もない。バスの中でさえカメラを出すことに抵抗があったからだ。それに前日も夜行バスでゆっくりと寝れていない。うつらつらしながらバスは西へすすむ。

検問と街を通り過ぎる度にGPSを確認するのだが、どう考えてもバスは遅れている。道が悪くバスが思うように進まないようだ。あたりが闇に包まれてもバスはノロノロと進み、夜10時半に突然道端に止まった。

サンフェリックス

どうやらここで皆降りるらしい。先に降りた客達の大半は真っ暗闇の中を消えていった。こんな道端でいきなり下されてどこに行けばいいのか。動揺し始めたところで、道を挟んで裏側にバスターミナルがあることがわかった。一行は暗闇からターミナルに移動した。しかし、なんだかあまり落ち着かない。バスターミナルのチケット売り場が全て閉まっているのだ。ターミナル自体も営業しておらず、その為明かりが少なくなっている。

これはあまりいい雰囲気とは言えない。バスの会社が営業していない限り、チケットは買えない。と言うことは、ここから重い荷物を持って移動して宿をとるか、ここで朝を待つしかないのだ。

周りを見渡すと、ミゾヨコ達と同じく行き場を失った人達が何人もいた。

隣国のガイアナ人が英語で話しかけてきた。インド系の顔立ちの男はこの先の国境を超えてガイアナに帰る途中だと言う。ここは夜間無人となり危険だから何処かに避難した方がいいと言うことだった。そりゃそうだ。しかしここのタクシーは本当に信用できるのだろうか。タクシーはターミナルに入り込むことができないからか、裏通りに何台か待機していた。その時点で胡散臭く感じる。

ガイアナ人がドライバーと何やら話して帰ってきた。はっきりと覚えていないがひと部屋50ドルくらい宿に連れていってくれるそうだ。タクシー代も別で払う。それに、なぜかその男も私たちの部屋に泊まりたいと言い出した。夜中にこんな国で女ふたりなら、もうひとり男がいた方がいいのかもしれない。しかしがタクシードライバーもその男も、本当に信用できるのかどうかを判断するには時間がなさすぎる。もしかしたら、変な場所に連れて行かれて身ぐるみ剥がされるかもしれない。かと言って街灯がほとんどないこの地域を大荷物で歩き回るのは得策ではない。

長い夜

ふたりして色々考えている間に、子ども連れの家族がターミナルの建物の間に座り込み、落ち着く準備を始めていた。ガイアナ人はだんだんとうざいキャラに変わっていき、「一緒に船でガイアナに行こう」と言い出した。

何が正解かわからなかったが、ミゾヨコ一行もその子ども連れの家族の近くで朝を待つことにして覚悟を決めた。交代でトイレに行き、私はターミナルを散策した。すると警護室のようなものがあり、弱そうな男だが一応セキュリティーの人もいた。これなら変な人が来ても助けを呼ぶことができる。

疲労は最高潮に達ていたが、アドレナリンも相当出ていた。交代で体操座りのまま寝ようとするが、目を閉じただけで眠れる様子はない。退屈でもiPadや携帯をここで出すのは危険すぎる。疲労困憊の身体でただただ夜明けをまつ。待合スペースに付けっぱなしのテレビがあった。内容は全く入ってこなかったが、その光があるだけでもなんとなく救われた気になった。

最恐国

2016年3月7日  世界一周663日目

空がしらけ始めてくると、少しずつ開店準備のために人が増えてきた。Hさんがお店の人と話して、なにやら強張った顔でこちらに帰ってきた。どうやら、サンタエレナまでの道中で違法に金掘ろうとした集団と警官が撃ち合いになり、通行止めになっているそうだ。しかも事件が起きたのは3日前で、28人が撃たれて死体がまだそこら中に転がっているのだ。そのせいでバスも出ていないのだと言うことがわかった。

まじか・・・・。さすが最恐国ベネズエラだな・・・。

そのあとも他のバス会社に聞いてもサンタヘレナ行きはないと言うし、ミゾヨコ一行は行き場を失ってしまった。そもそも地球の歩き方のベネズエラなどとっくに廃盤になっていて(存在していたのかすら不明)、ブラジルの本にさらっと書かれた程度。情報がなさすぎる。ネパールでもらった英語のガイドブックがかろうじて私たちの道標となっていたのだが、この地域のことは宿の情報等が一切書かれておらず、おまけに「工業地帯が衰退して犯罪が多く危険」と書かれていた。ここで一晩過ごしただけでも宇宙から無事帰還したくらいの感動はあるんではないか。

とりあえず昼まで新しい情報を待ったが、バスは再開の目処は誰にもわからなかった。とりあえず最寄の空港まで移動し情報収集することにした。

ツアーデスクに行くと、エンジェルフォールズに行くツアーを勧められた。エンジェルフォールズはカナイマ空港まで行く必要があるのだが、この空港からツアーで行くとUSD400と高い。エンジェルフォールズは世界一の高低差を誇るベネズエラ屈指の観光名所だが、今は乾季のためあまり迫力がなくオフシーズンと言える。そして、乾季だからこそ登れるロライマ山が私たちが目指していたサンタヘレナにあるのだが、ここからのダイレクトフライトはなし。

本当に困った

またあの不気味なバスターミナルにもどりバスが再開するのを待つか、この空港近くに泊まるか、シウダードボリバルという都市に移動してそこからツアーを組むか・・・・。

ミゾヨコ一行が選んだ選択は、シウダードボリバルに移動するだった。もう事件から3日も経つからいつでも道は開通しそうだが、万が一のことを考えて安全なほうを選択した。それにロンリープラネットに書いてある宿に泊まれば他の旅行者とも会えるし、何かいい情報を得られるかもしれないと思ったからだ。一行は1時間半かけて移動し、ボリバルのバスターミナルに着いた。

するとタクシードライバーが歩み寄ってきて、150ボリバルでサンタヘレナまで連れて行ってやると言い出した。確かに遺体がころがって道が塞がれていたとしても、自家用車ならなんとかなるかもしれない。しかし、安すぎはしないか?ここからサンタエレナまでは700キロもあるのだ。

Venezuela,

公式レートで計算すると25ドル、闇レートだと0.2ドルほど。これまでのバス代も二人で数百円だったからありえる値段かもしれないが、万が一ドライバーが怖い人だったり、何かトラブルがあったら二人で解決できる気がしない。

結局タクシーでサンタヘレナへ行くことを諦めて宿にいった。

とりあえずミゾヨコ一行はシャワーを浴びて眠った。安全な宿でなにも怯えることなく眠れることがこんなにも幸せだったのは初めてかもしれない。

その後さっきのタクシードライバーのオファーを計算し直した。この都市からタクシー代を含むツアー代金が400ドル、現地からのツアー代金が250ドルなのでタクシー代金は150ドルあたりが相場になる。あのままあのタクシーに乗っていたらどうなっていたのだろうか。万が一地元料金であったとしたらラッキーだったが、その可能性に賭けてみる気にはなれなかった。

ミゾヨコ一行はとりあえずここに泊まって吉報を待つことにした。

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