マチャプチャレBC→アンナプルナBCへ再チャレンジ
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前回のお話はこちら↓

明けない夜はない

調子に乗って1日で標高を上げすぎたミゾヨコ。

MBCについてしばらくすると頭痛が始まった。

さらに夕食に飲んだ半生ニンニクスープと高山病予防薬のおかげで夜間1時間おきにトイレに通う羽目になった。

持病の咳喘息なのか、それとも高山病から肺に水でも溜まったのかわからないが、夜通し咳も続く。

この日ほど孤独を味わったのは久しぶり。

果たして私は自力で生きて帰れるのかどうかを考え出すと、悪い方にばかり妄想が爆走する。

ああ、このまま息ができなくなったらどうなるんだろう・・・・

ブルーシートに包まれたまま、ヘリに積み込まれるのを想像して怖くなった。

日本に帰りたいよおおおおお・・・・・。

【4日目】後退する勇気

2014年1月27日 世界一周144日目

朝方にはさらにヘロヘロになり、衰弱がますます進む。

しかし、夜明けとともに徐々に頭痛が軽くなってきた感じあり。高地にゆっくり順応してきた様子。

辺りが明るくなる頃には、お腹のものもすべて出し切ってトイレの回数も減った。

するとまた少し元気になり、余裕ができてくるとともに悔しさと情けなさがこみ上げてきた。

「は〜。元気だったらフランス人のイケメン二人組とキャッキャ言いながらABC行けてたのに」

「ドヤ顔してみんなに 近況報告できたのに」

これまでの旅を振り返ると、タスマニア、ニュージーランド、エベレストと、山には嫌われて、いまいちなことが多かった。

悲しーーーーー。

時間が経つと、さらに少し高地順応して楽になってきたので横になってウトウト。

すると、10時ごろ。何やら見覚えのある赤いジャケットの女性が勢いよく山小屋に入ってきました。
「聞いたよ〜!

ABCにいたフランス人2人組から

日本人の女の子が高山病で苦しんでるって聞いたから

急いで降りてきたの!」

それは、一昨日宿が一緒だった日本人のIさんでした。

なんと言うことでしょう。

せっかくABCまでの登ったのに、噂を聞きつけゆっくりする暇なく降りてきてくれたのでした。

ひとり孤独で、頭痛をとおしりの痛さ寒さと戦いながら耐えていたミゾヨコは、突然受けた優しさに涙をこらえるので必死でした。

Iさんはまるで天使。

それはフランダースの犬の最終回、餓死寸前のネロが吹雪の中ボロボロの体を引きずって訪れたアントワープ大聖堂

あれ、ボロボロだったのはパトラッシュだったか?

とにかくネロが念願のルーベンスの絵を見た時、ひとすじの光と共にゆっくりと舞い降りてきた天使のようでした。

大人げない。わかってるけど、ミゾヨコの心はそこまで強くないのです・・・・。(半泣き)

ただでさえ、人よりこういう類の感受性は高いのです。

Iさんは日本から持ってきた梅干しを入れた白湯作ってくれました。

それは日本を離れて144日目の朝でした。

口いっぱいに広がる梅干しの塩気、お母さんがつけてた味と一緒だ。

そんなことを思いだし、また涙が出るのを我慢。

いや、たぶん涙は出ていた。鼻水とともに。

そう言えば、汗かいてるはずなのに塩分もとってなかったな。

確かそんな事も思い出し、ゆっくり梅干し入りのお湯を飲みほしたのでした。

すると少しずつ、さらに症状が改善。

「私はこんなにいらないから持って行って!」

今の私にはきっとどんな高級料理より元気が出るIさんの梅干し。それとホッカイロをいただきました。

まさか海外で自分がこんな形で日本人に支えられるとは思っても見ませんでした。

さて、どうする

さて、高地順応は進みつつあるし、私はこれからどうしよう? Iさんと、そのガイドに聞いてみました。

選択肢は2つ

①このままABCまで登り、万が一症状が悪化した場合は保険を使ってヘリで帰る

②一度ひとつ下の山小屋まで下山し、しっかり高所に順応したところで再びトライする。

①は緊急時は致し方ないが、これからも1年以上旅は続くので、出来るだけ保険のお世話にはなりたくない。

そもそもABCに来たかったのは、この後エベレストのベースキャンプに行くため。

だったら一度下山し高地順応を待ってABCで一泊したほうがエベレストで楽できる。

私が選択したのはもちろん②、高地順応のやり直し。ひとつ下の山小屋まで下りることにしました。

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無事ABCまで行って帰ってきたグループをしり目に、トボトボ降ります。

そして、体調管理の方法も聞くことができました。

高山病にならないためには

<高山病対策>
・標高を上げるのは1日500m位まで(知ってたのに調子に乗って行ってしまった)
・早めに山小屋に着いたら、荷物を置いてさらに200m程登って少し休憩して下りる。これで、さらに順応が進み、夜の寝つきが違うそうです。
・体は絶対冷やさない(カイロ使用)
・適宜水分と同時に塩分も摂取する(看護師でありながらこれが出来てない自分にあきれた)
・頭は常に温める
・アルコールとタバコは控えるて、無駄な酸素消費を控える。

再チェレンジに向けて下山

再度アンナプルナベースキャンプを目指すため、ひとつ低いDeuraliの山小屋に戻りました。

Iさん御一行は同時に出発したのにかかわらず、すごい速さでまた彼方へ行ってしました。

お昼前には山小屋に到着

標高が下がったことからすっかり頭痛は治ましました。

そして昨晩悩まされ続けた咳も止まりました。

そもそも高山病の頭痛の原因は、脳に水が溜まって腫れるから。

肺にも溜まって不思議はなかったんですね。

昨晩寝不足だったおかげでそのままベッドに倒れ込み爆睡。


気付いたのは夕方。

外に出てみると、他の宿泊客は夕食を済ませている。

ネパールの山小屋のルールは、宿泊代金が安い代わりに夕食と朝食をその宿で食べること。

なので食欲はまだ回復してなかったけど、体調を悪いことを説明しチャパティーのみ注文。

やっぱり、しんどい時はおかゆがいいなぁ・・・・。

その夜は、何度かトイレには行ったけどまずまず熟眠できた。

【5日目】Deurali→どこまで行けるか?

朝も気分よく起床。

朝食も同じくチャパティーにはちみつ塗って食べ、昨日降りてきた道を再び登り始める。

体調は回復したけど、ゆっくりゆっくり進み、沢山の人に追い抜かされながら歩いていく。

標高が高くなるにつれ、酸素が薄くなる分体が動かなくなるけど、それでも昨日より全然まし。

ここまでの道、どこかで追い抜かしていた中国人の家族がABCから下りてくる・・・・・・。

涼しい顔で抜かしていったのに・・・・。

ウサギとカメの話しみたいでちょっと恥ずかしい。

普通は2時間かけて登るMBCまでの道をまた3時間かけて登る。

MBCに到着

ランチを取り、しばし読書。

これが、チャパティー。ハニーと一緒にいただきます。

内容もちゃんと頭に入ってくるし、頭もいたくない。

ABCまではあと標高300m

これは行ける?

十分に体も休めたし、頑張ってみることに。

昨日上がったフランス人がゲーターくれたのでさっそく装着してむかいます。

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最初はなだらかな上りがしばらく続く

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酸素がまた薄くなり、体が重い

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次々と中国人の団体に追い越される。

中にはあからさまに一人だけ太ってて、ぜーぜー言いながら

登っている人もいてちょっと親近感w

でも、そんな人にも抜かされつつ、ゆっくり歩きます。

動物の足跡発見。

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そして、また更に追い抜かれるけど日没までには十分時間があるので気にしな〜い。

あくまでもマイペースで、ゆっくり、一歩ずつ。

が、日差しがきつい・・・・・・。

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でも、、周りが高い山ばかりなので太陽が隠れるのは早く

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途端に気温がぐっと下がります。

そして、はるか遠くに見える山小屋のようなもの。

今回はひとり気ままに、(結局人に助けてもらう結果にはなったけど)

自分の体調に合わせて登れたからいいけど、エベレストは友達を登る予定。

こんなんで私、みんなの足を引っ張らずに登れるのかな・・・・・・・・。

4000mでこれだから、やっぱり不安・・・・・。

なんてこと考えながらさらに登っていると、見た顔が降りてきた。

偶然の再会

カトマンズの宿が一緒だったブラジリアンに遭遇。

二人はこれから下っていくところだったみたい。

そして、彼らもどこかで私がMBCで一緒だったフランス人二人組と会っていたようで

「おー!フランス人が日本人の女の子がしんどそうだったって言ってたけど君だったんだね(゚Д゚;)」

あら、思わぬところで私のうわさが広まっててびっくり。

そしてお互いをねぎらいそれぞれの道をめざします。

ついにやりました

そしてそこからさらに1時間で到着!!!!

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と言っても、山小屋まではもう少し歩き

無事到着!!!

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4130m!!!! 私の最高到達点をめでたく更新しました!

(私のスントの表示では4000mだったけど・・・・)

看板犬がお出迎え

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毎日強い紫外線を浴び、周りが雪なのでさらに反射して目が真っ赤、ちょっとかわいそうだった・・・・。

すでに暖を取っている人達

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夕日に照らされ、真っ赤になっていく山々

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そして、体も超元気!!!

久々にダルバートをお腹いっぱい食べました。

夜が更けていくにつれ、満点の星・星・☆ーーーーー!!!!

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私、これが見たくて頑張ったんです。満点の星。

写真はイマイチかもですが。

ミゾヨコ、よくここまで頑張った!

そして、翌日からは温泉を目指して一気に下山するのでした。

ワンちゃんにご褒美
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